肩こり、腰痛、冷え症など10大症状に効く、医学的に正しいお風呂の入り方
予防医学の視点から見た正しい入浴のコツ
医学的に正しい「疲労回復するためのお風呂の入り方」について、東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉さんにお話を聞いた(雑誌『一個人』2018年2月号より)。
◆温熱作用の刺激による血流改善が疲労回復を促す
東洋医学では古くから「冷えは大敵。体を温めることが万病に効く」という考え方があった。ゆっくり湯船に浸かることは、その言い伝えを実現するものなのだ。
「体を温めるということは、血流を良くするということなのです。私たちの体は小さな細胞組織が集まって形成されています。全身の細胞は、それぞれが働くための栄養や酸素を必要としていて、そこで生命活動を維持しています。また、活動によって作り出された乳酸や二酸化炭素、老廃物の排出も行わなければいけません。栄養や酸素の供給、そして老廃物の運搬などの役割を担っているのが血液ですから、その循環を良くすると、細胞が活性化されて体調不良が解消されるのです」と早坂さんは話す。
血行を良くするには、体を動かすか、外部から暖めるしか手段はない。しかし、毎日汗をかくほど体を動かすことは現実的ではない。
その観点からも毎日の入浴は、血流を良くして体を活性化させるには手軽な手段なのだ。
「もう一つ疲労回復という点でも有効です。老廃物が生み出され続けているのにそれが回収されなければ蓄積されていくばかりです。また、栄養が供給されなければ、細胞の機能が低下します。この状態が、疲れが取れないという症状につながっていくのです」。
それが続けば、細胞や心理的な回復作業が追いつかなくなる。だからこそ、ぬるめの湯に入って、緊張を解き、副交感神経優位の状態を作り出さなくてはいけない。
「疲労回復が目的の場合は、0.5〜1℃の深部体温の上昇が必要です。そのために40℃前後のお湯に10〜15分、肩まで浸る必要があります。入浴後は素早く体を拭いて、急速に冷やさないことが大切です。ヨーロッパの温泉療法などでは毛布や布団に包まって安静にする方法が行われますが、疲労回復には非常に有効です」。
上手な入浴法で疲れを残さないことが、体調を整える肝なのだ。
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